北海道大学 大学院 生命科学院
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小鳥ヒナの「バブバブ(喃語 babbling)」には個体ごとに違いがあることを発見

Sato's paper figヒトの言語や小鳥のさえずりは,発声学習によって獲得されます。発声学習で獲得される発声パターンには個体差が生まれ,それが個体識別や個体間コミュニケーションに重要になります。しかし,どのようにして個体ごとに少しずつ異なる発声パターンを学習しているのか,よく分かっていませんでした。今回の研究では,学習の最も初期の発声,つまりヒト赤ちゃんの喃語(babbling)に相当する発声を出す時に,既にその発声パターン(テンポ)に個体ごとに違いが存在することが分かりました。この学習初期で見られる発声パターンの個体差は,家族間でその違いがさらに大きくなることが生育実験で明らかになりました。また,耳を聞こえなくする実験では,小鳥ヒナの発声のテンポが速くなりますが,個体差そのものは消えないことが確認されました。これらの結果は,発声学習の最初期において発声の仕方にすでに個体差が存在し,それが遺伝的要因の影響を受けていることを意味します。この学習初期の個体差がその後の発声学習発達にどのような影響を与えるのか,今後の研究で明らかにしていく予定です。

(研究論文)

研究論文名:Familial bias and auditory feedback regulation of vocal babbling patterns duringearly song development(家族性バイアスと聴覚フィードバックの制御によって,小鳥の発達初期の発声パターンがつくられている)
著者:佐藤大介,森 千紘,澤井 梓(北海道大学大学院生命科学院),和多和宏(北海道大学大学院理学研究院)
公表雑誌:Scientific Reports
公表日:英国時間 2016 年7 月22 日(金) (オンライン公開)
 

2016/08/02 プレスリリース ダウンロード

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