北海道大学 大学院 生命科学院

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狙った細胞のみを殺す光リモコンスイッチの開発にはじめて成功 ~副作用の少ないがん治療への貢献に期待~

 

北海道大学大学院薬学研究院の小川美香子教授(JST戦略研究推進事業さきがけ研究者兼任)・米国国立がん研究所の小林久隆主任研究員らの研究グループは、株式会社島津製作所、名古屋大学高等研究院・大学院医学系研究科の佐藤和秀S-YLC特任助教(JST次世代研究者育成プログラム)らと共同で、新規のがん治療法である光免疫療法の治療メカニズムに関する研究を行い、光免疫療法は、全く新しい光化学反応を用いた細胞の殺傷方法であり、近赤外光が狙った細胞上にある「デス・スイッチ」をONにして選択的に殺すことができることを証明した論文を発表しました。

 

光免疫療法ではIR700という化学物質を抗体に結合させた薬剤を用います。研究グループは光反応によるIR700の化学構造変化に着目し、質量分析装置・原子間力顕微鏡などによる解析を行いました。この結果、光化学反応によるIR700の化学構造変化とそれによる物性変化が、抗体の結合した細胞を殺す「デス・スイッチ」の本体であることを突き止めました。光免疫療法では、がん細胞膜上で近赤外光のリモコンでこのスイッチをONにすることで、がん細胞膜のみ殺傷することができます。

 

本研究成果は、米国東部時間2018年11月6日(火)公開「ACS Central Science」誌に掲載されました。

 

(研究論文)

論文名: Photoinduced ligand release from a silicon phthalocyanine dye conjugated with monoclonal antibodies: A mechanism of cancer cell cytotoxicity after near-infrared photoimmunotherapy(光による抗体シリコンフタロシアニン誘導体からの軸配位子開裂反応が,近赤外光による光免疫療法のがん細胞障害メカニズムである)
著者名: 佐藤和秀1,2,3, 安藤完太4 , 奥山修平1,5, 森口志穂5, 小倉泰郎5, 十時慎一郎5, 花岡宏史1, Tadanobu Nagaya1, 粉川良平5, 高倉栄男4, 西村雅之5, 長谷川好規3, Peter L. Choyke1, 小川美香子4, 小林久隆11米国国立がんセンター,2名古屋大学高等研究院,3名古屋大学大学院医学系研究科呼吸器内科,4北海道大学大学院薬学研究院,5株式会社島津製作所)
雑誌名: ACS Central Science(化学の専門誌)
DOI: 10.1021/acscentsci.8b00565
公表日: 米国東部時間2018年11月6日(火)(オンライン公開)

2018/11/7 プレスリリース ダウンロード

 

 

 


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