有賀 早苗 生命システム科学コース
環境分子生物科学研究室

教授

有賀 早苗
(ありが さなえ)

研究タイトル
環境ストレスに応答した細胞の増殖・分化・癌化・死の分子機構の解明
研究キーワード
細胞増殖、細胞分化、細胞癌化、アポトーシス、原癌遺伝子、細胞情報伝達、環境ストレス、酸化ストレス、神経変性疾患
担当科目
生命科学実習/生命科学論文講読/生命システム科学論/基礎ゲノム機能学特論
所在
農学部本館S309室
電話番号
内線3617
E-Mail
ホームページ
http://www.agr.hokudai.ac.jp/emolb/



研究内容
 

ストレスに応答する仕組みを分子レベル・細胞レベルで明らかにする

生物は、厳しい環境の変化に対応して細胞・組織・器官内の環境を変化させ、最終的には生物の形さえも変化させます。このような生物の内外環境応答機能を個体統合システムとして捉え、さまざまな環境シグナル情報統御機構を、生化学・分子生物学・細胞生物学・ゲノム科学を基盤とする研究手法を用い、分子レベルで解析・理解しようとしています。日常生活で私たちがさらされている紫外線、放射線、発癌物質などの様々な変異原や酸化ストレスを受容した細胞がシグナル伝達経路・遺伝子発現制御を介して、細胞増殖・分化、あるいは癌化・死を調節して新たな環境に適応するする機構、その機構破綻によって癌や脳神経変性疾患が発症する機構の解明を行っています。

 真核細胞、特にヒト、マウス等の哺乳動物細胞を用いて、ほとんどの癌細胞および発生初期等の増殖の盛んな細胞において高発現されている核内原癌遺伝子c-mycの産物タンパク質c-Mycが、特異的に結合・協働するパートナータンパク質を換えることで様々な機能を発揮して細胞機能調節の中心的役割を担っている機構、またc-Mycやパートナータンパク質の異常・欠損がもたらす癌および癌以外の疾患の発症機構を解析しています。

 さらに、私たちのグループでc-mycと協調する新規癌遺伝子としてクローニングしたDJ-1が内分泌かく乱物質(環境ホルモン)や酸化ストレスの標的になり、

癌だけでなく脳神経変性疾患パーキンソン病の原因遺伝子であること、正常な神経発生や精子形成に重要な役割を果たしていることを明らかにしてきました。

DJ-1は、様々な環境ストレスにより細胞内に生じる活性酸素種(ROS)を自らが酸化されることで吸収しながらその酸化度によって他のパートナータンパク質との協働活性を変化させて応答反応を選択する"ストレスセンサー"の役割を果たしていることが示唆されてきており、細胞増殖・アポトーシスのスイッチング機構に迫ろうとしています。

メッセージ

マクロな視野でミクロの機構を研究し、グローバルな活躍を!

試験管内で、細胞の中で展開される微細な分子機構解明に取り組みながら、医薬・基礎医学における疾患と健康、農学の視点からみた生態系や環境・食の安全、様々な切り口と広い視野で考えています。小さな研究室ですが、世界標準で研究しています。実験室での拘束時間も長く、簡単に答えや成果の出ない実験研究を根気よく続けられる意欲・体力・精神力、安易に既存のマニュアルを求めずに新しい方法・工夫にチャレンジする精神、研究室内外の人たちと仲良く協力しながら切磋琢磨する協調性・向上心を持つ人を歓迎します。


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