北村 朗 生命融合科学コース
細胞機能科学研究室

助教

北村 朗
(きたむら あきら)

研究タイトル
分光イメージング手法を用いた細胞内タンパク質凝集体形成と細胞毒性発現機構の解析
研究キーワード
細胞生物学,生物物理学,神経病理学,生体分子間相互作用解析,蛋白質科学,タンパク質フォールディング,細胞内タンパク質品質管理機構,分子シャペロン,タンパク質分解,神経変性疾患,タンパク質凝集体形成,筋委縮性側索硬化症(ALS),ハンチントン病(HD)
担当科目
環境と人間(分担),実験生物科学(分担),基礎高分子科学実験
所在
札幌市北区北21条西11丁目 次世代ポストゲノム研究センター 4F
電話番号
011-706-9542
E-Mail
ホームページ
http://www.lfsci.hokudai.ac.jp/labs/infmcd/member/kitamura/Kitamura.htm



研究内容
  タンパク質は,ポリペプチド鎖が折り畳む(フォールディングする)ことで機能的な構造を獲得するが,きわめてたくさんの分子が混みあった状態にある細胞内においては,正しくフォールディングする過程をたどれないことが多いと考えられている.このような問題を回避するため,細胞内はタンパク質のフォールディングを介助するための分子シャペロンと呼ばれる一群のタンパク質が存在する.さらに,フォールディングに失敗したり使い古されたタンパク質は,ユビキチン・プロテアソーム経路やオートファジー・リソソーム経路といったタンパク質分解経路に送られ,アミノ酸レベルに分解されることが知られている.このように細胞内にはタンパク質を生みだすだけでなく,壊すまでの一連の機構が存在しており,タンパク質品質管理機構と呼ばれている.一方,ポリグルタミン病,筋委縮性側索硬化症(ALS),アルツハイマー病,プリオン病といった神経変性疾患の原因として,タンパク質のミスフォールディングを伴う凝集体と神経細胞毒性の関係が注目されているが,このような凝集体形成と除去には,タンパク質品質管理機構との密接なかかわりがある.このためタンパク質の品質管理機構は,神経細胞に対する毒性の発揮と抑制にも関与していると考えられている.

タンパク質の凝集体形成と凝集体形成に対する分子シャペロンおよびタンパク質分解経路の関与

蛍光相関分光法(FCS),FRET,蛍光寿命イメージング顕微鏡,光活性化型蛍光タンパク質イメージングなど各種生細胞蛍光イメージング手法を駆使して,細胞内におけるタンパク質の凝集体形成と脱凝集過程を解析している.また,分子シャペロンや分解経路の機能解析には,伝統的な研究手法である分子細胞生物学,生化学,蛋白質科学などの手法も適時組み合わせることで,多角的な解析を行っている.さらに,凝集体がどのような分子量を持ち,コンフォメーションにあるときに毒性を発揮しやすいのかという解析から,タンパク質凝集体と細胞毒性の関連について解明したいと考えている.

分光イメージング技術を用いた細胞生物学的問題解明へのアプローチ

細胞内で多量体化することで下流にシグナルを伝えるタンパク質複合体の形成や解離を,拡散計測・FRETといった生物物理学的手法から切り込むことで,時間的・空間的にも詳細でありかつ新規の細胞機能を発見したい.
メッセージ
細胞内分子を可視化し,生物物理学的な計測を行うことから,細胞がもつ複雑かつ巧妙な機能を解明する楽しさを共有してみたい方は,一緒に研究をやりましょう.

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