Photo 生命システム科学コース
生殖発生生物学第2a研究室
(高橋孝行研究室)

助教

荻原 克益
(おぎわら かつえき)

研究タイトル
生殖現象の分子メカニズムに関する研究
研究キーワード
生殖生物学、卵巣、排卵、脊椎動物、メダカ、哺乳類
所在
理学部5号館・11-03室
電話番号
011-706-3522
E-Mail
ホームページ
https://www.sci.hokudai.ac.jp/~kogi/Reproductive2/Welcome.html



研究内容
  脊椎動物の排卵機構に関する研究
排卵は卵巣を包む最外層の結合組織が溶解することによって起こる。最近、脊椎動物では初めて、メダカの排卵酵素が発見された。すなわち、溶解酵素として関わる3つのマトリックスメタロプロテアーゼ(MT1-MMP, MT2-MMPおよびgelatinase A)とその活性調節に関わるタンパク性因子(tissue inhibitor of metallo- proteinase-2b) が排卵を実行する因子として同定された。今後は、メダカにおける排卵調節の分子メカニズムの解明を目指す。具体的には、上記の遺伝子発現が、環境要因との関連をも含めて、どのように調節・制御されているかを明らかにする。さらに、未だ発見されていない哺乳類の排卵酵素を、マウスを用いて探索・同定することにもチャレンジする。

脊椎動物における破損組織の修復機構に関する研究
生物は、損傷や破壊を受けた組織を修復する能力を備えている。卵巣は、ホルモン制御の下で、周期的に卵を産生・供給する機能をもっている。卵は、濾胞組織の中で成長した後に排卵され、排卵後の組織では、修復のプロセスが作動し始める。卵巣における排卵後のプロセスは、組織修復のモデルとして最適であり、このような観点から、組織修復メカニズムの解明に挑戦した研究は過去にない。そこで、修復が迅速に進行するメダカ卵巣を材料として用い、排卵後の組織が回復していくプロセスについて調査する。具体的には、修復に関わる因子の探索と同定、さらには、それらの因子の作用様式について明らかにする予定である。本研究における迅速な組織修復のプロセスの解明は、破損した組織を驚異的速度で回復する技術の確立にも役立つと期待される。
メッセージ
近年、特に社会的関心事となっている環境ホルモン、クローン生物、不妊治療、養殖と繁殖等の問題はいずれも生殖生物学の主要な研究課題であり、生殖生物学分野の重要性が広く認識されるようになっている。上記の問題を解決するためには、生殖器官の機能解明を含めた基盤研究が不可欠であり、この分野に興味をもつ学生が参加してくれることを楽しみにしている。

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