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一見静かに生きている植物ですが,彼らは絶えず環境中のストレスと戦っています。ではどうやって生きているのか?その答えを探すために,植物の細胞内で起こっていることを,遺伝子やタンパク質の機能に着目し研究しています。モデル生物であるシロイヌナズナを主な材料に,遺伝子が壊れた植物体の解析や細胞内での情報伝達系を担うタンパク質同士の結合,輸送,分解といったミクロな生命現象を先端的な手法で解析しています。こうした実験を通して,植物が環境ストレスにどう適応し,生存しているのかを明らかにしたいと思っています。
植物の栄養ストレス適応 地表に固定され動けない植物は,自らが生存している場所での栄養環境に適応していかなければなりません。特に,細胞内の炭素源(糖,C)と窒素(N)は代謝で密に関わり合っており,その量的バランス「C/N」は植物の発生・成長を大きく左右する重要な因子となります。私たちは,糖と窒素代謝のクロストークに着目し,長年不明であった植物C/N応答制御の分子メカニズムを解明すべく研究を行っています。私たちの研究により,C/N応答にはユビキチン-プロテアソーム系を介した特異的タンパク質分解が重要であることを明らかにしており,現在ユビキチンリガーゼATL31に着目したインタラクトーム解析を中心に精力的に研究を進めています。 |