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動物が,なぜ多様な形態や行動を呈するのか? この疑問を解くには,大きく分けて二つのアプローチがあります.一つは,当該の特徴がどのようなメカニズムによって発現されているか追究する方法,二つ目は,その特徴がどのような機能を果たしているかを解明する方法です.この両者のどちらを抜きにしても,動物行動の「なぜ」を解き明かすことはできません.私は,とりわけ後者の観点に軸足を置き,飼育下の鳥類(主にスズメ目カエデチョウ科)を対象に行動生態学の観点から研究を進めています.
鳥類の生活史特性,社会性,そしてそのコミュニケーション能力は,動物行動の多様性を考える上で極めて興味深い題材です.たとえば身近な世界に目を転じてみた時,なぜ私たちは特定の人を好きになり伴侶とするのでしょう? 恋人にはどのようにアプローチしますか? もうける子の数はどのように決まりますか? 息子と娘どちらが欲しいでしょうか? このような一見素朴にも見える問いを鳥類の生態に当てはめ,普遍的解を探すことによって,動物の社会行動の進化の真髄に迫りたいと考えています.
主たる研究テーマ- 鳥類における求愛ディスプレイの個体差と機能
- 鳥類の親子関係における視聴覚コミュニケーション
- 母鳥の産卵繁殖行動および母性効果の適応的意義
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