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私たちの研究室では、「食環境への消化管の適応機構とその制御」について、実験動物および培養細胞を 用いて研究しています。現在は、とりわけ「腸内微生物と宿主の相互関係」に 着目して研究しており、食品によって腸内微生物の構成をコントロールすることにより、アレルギーやメタボリックシンド ロームなどの病気を予防したり健康 を増進したりできないかと考えています。 およそ1000種類、100兆個にも上る腸内微生物は、私たちとは無関係にただ腸内に棲み着いているわけではなく、実は私たち宿主の生理に深く関わって いるので、いわば私たちの身体の一部なのです。ですから、腸内微生物叢の構成が変化すれば、さまざまな病気に対するリスクも変化します。言い換えれば、あ る種の病気を予防できるような微生物叢の構成があるかもしれませ ん。食物繊維や難消化性オリゴ糖などのような消化吸収されない食品成分は、腸内微生物の活 動に影響を及ぼします。 私たちの研究室では、そのような食品成分によって腸内微生物叢の構成を変化させたとき、さまざまな病気が予防・軽減できるかどうか、またそれはどのような メカニズムによるのかを明らかにしたいと考えているのです。 ところで、食物をまったく食べない冬眠中の動物の腸はどうなっているのか、またそのときの腸内微生物はどうなっているのか、解明されておら ず、世界中で も調べている人はほとんどいません。それらを調べれば、腸内微生物と宿主の未知の関わりを発見できるのではないかと考え、ゴールデンハムスターやニホンツ キノワグマを冬眠動物のモデルとして実験を行っています。
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