Photo 生命システム科学コース
形態機能学第1a研究室
(山本興太朗研究室)

教授

山本 興太朗
(やまもと こうたろう)

研究タイトル
オーキシン作用の分子機構
研究キーワード
植物の形態形成、オーキシン、屈光性、屈地性、伸長成長、転写調節ネットワーク、タンパク質分解調節
担当科目
生命分子科学概論/生命科学実習/生命科学論文講読/環境応答システム学特論
所在
理学部5号館・6-14室
電話番号
011-706-2739
E-Mail
ホームページ
http://www.sci.hokudai.ac.jp/~ky082/keitai1/Welcome.html



研究内容
  植物ホルモンであるオーキシンは、植物型多細胞生物の出現に必須であったと考えられており、その作用の分子的基盤の研究は植物型生命の理解に欠かせない。オーキシンの作用は多様だが、私たちはその中で屈性現象や伸長成長促進作用に着目して、分子遺伝学的、細胞生物学的研究をおこなっている。

私たちはこれまでに、シロイヌナズナを用いた分子遺伝学的研究によって、(1)屈性を引き起こしている主要な要因はオーキシンであることと、(2)オーキシンは、転写調節因子であるオーキシン応答因子7(NPH4/ARF7)とその抑制性調節因子MSG2/IAA19とによる下流の遺伝子の転写調節制御によって、屈性を引き起こしていることを明らかにした。また、他の研究者によって、オーキシンの一次反応はMSG2の分解促進であることが示唆されている。

以上のことから、現在の研究課題は、(1)屈性が起こる胚軸組織の中で、NPH4とMSG2が作用する場所を空間的、時間的に明らかにすることや、(2)転写調節を受ける標的遺伝子を明らかにすることや、(3)オーキシンによるMSG2分解の実体を明らかにすることである。この目標に向けて、nph4やmsg2に対する抑圧突然変異の同定や、これら遺伝子の作用をリアルタイムで観察する実験系の開発をおこなっている。

伸長成長は屈性現象(偏差成長)の素過程であると普通考えられているが、両者の関係は必ずしも明らかではない。両者の関係を明らかにするために、伸長成長におけるNPH4やMSG2の役割も調べている。

NPH4が属するARFファミリーはシロイヌナズナでは23個あって、多様なオーキシン作用をそれぞれが分担していると考えられているが、23個の中でNPH4だけが特別な位置を占めている。NPH4は、屈性を特異的に支配すると共に、他のARFと共同して他の機能を相乗的に助ける作用も持っているのである。このようなNPH4の特別な機能の分子的原因の究明も研究課題としている。
メッセージ
私たちは、植物の形態形成の分子的基盤を明らかにするために、全国の植物科学研究者と共同で「植物メリステムと器官の発生を支える情報統御系」というプロジェクトを推進しています。
http://www.bio.nagoya-u.ac.jp/~yas/tokutei_plant_meristems/index.html

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