北海道大学 大学院 生命科学院
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ニワトリ胚の卵巣発達には男性ホルモンが重要

Kuroiwa170203
男性(雄性)ホルモンは,オスらしさをつくるために重要な働きをもつことが知られています。ニワトリにおいても,トサカや骨格筋の発達,生殖や行動などのオスらしさをつくることがわかっています。しかし,卵から雛がかえるまでの胚の時期における男性ホルモンの働きは,不明な点が多く残されていました。
そこで本研究では,男性ホルモンの働きを阻害するノックダウン実験1)を行いました。男性ホルモンは,男性ホルモン受容体と呼ばれるタンパク質に受け取られることで,はじめて働くことができます。黒岩教授らは,受容体遺伝子に対するノックダウン実験により受容体の産生を抑え,受容体を減少させることで,男性ホルモンの機能阻害を起こすことに成功しました。ノックダウンしたオスの胚では,精巣は正常に発達し,特に大きな変化は見られませんでした。ところが,メスでは卵巣の形態に異常が見られました。このことから,胚の時期に男性ホルモンが正常に働くことができないと,将来的にメスの産卵に影響を与えることが示唆されました。
本研究の意義は,胚の時期における男性ホルモンの働きは,オスではなくメスの卵巣発達に重要であること,胚の時期の男性ホルモンが後のメスの産卵に影響を与える可能性があることを明らかにした点です。鶏卵は世界的に広く食用とされています。本研究の成果は,鶏卵産業に有用な基礎情報を提供することができます。

(研究論文

研究論文名:Androgens and androgen receptor signaling contribute to ovarian development in the chicken embryo(アンドロゲン/アンドロゲン受容体シグナリングはニワトリ胚の卵巣発達に働く)
著者:田中龍馬 (北海道大学大学院生命科学院), 泉 洋江(北海道大学大学院理学研究院),
黒岩麻里 (北海道大学大学院理学研究院)
公表雑誌:Molecular and Cellular Endocrinology
公表日:英国時間 2017 年1 月30 日(木) (オンライン公開)

2017/1/30 プレスリリース ダウンロード

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