北海道大学 大学院 生命科学院
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ウイルスが「尻切れ」遺伝子を活用していることを発見

Nakahara

RNA(リボ核酸)をゲノムに持つウイルスは,その小さなゲノムの中にウイルスの感染・増殖に必要な遺伝子を詰め込む必要があります。そして,それらを発現させるために様々な戦略がとられています。今回,クローバ葉脈黄化ウイルスが自身のコピーを複製する時に,P3 と呼ばれる遺伝子内のグアニン2 個とアデニンが6 個並んだ(G2A6)配列で一塩基の欠損を生じることで,P3 のG2A6 より下流部分が欠落した尻切れのP3 遺伝子(P3N-ALT と名付けた)を発現すること,及びP3N-ALT がウイルスの感染・増殖に必要なことを,北海道大学の薦田(萩原)優香研究員,中原健二講師,内藤哲教授,慶應義塾大学の佐藤昌直特任助教らの研究グループが解明しました。一塩基の挿入・欠損を起こす可能性のある同様の配列は,他の多くの動植物RNA ウイルスのゲノム上にも多数見つかったことから,他のウイルスにおいても感染・増殖に必要な尻切れ遺伝子を発現している可能性が考えられます。

(研究論文)

研究論文名:Truncated yet functional viral protein produced via RNA polymerase slippage implies underestimated coding capacity of RNA viruses(RNA 合成酵素による読み枠のずれを生じる変異により結果的に生じた尻切れではあるが正常に機能するウイルスタンパク質は,RNA ウイルスのコードするウイルス因子のレパートリーを過小評価していることを示唆する)
著者:薦田(萩原)優香(北海道大学大学院農学研究院),佐藤昌直(慶應義塾大学),厚見剛(岩手生物工学研究センター,国立研究開発法人産業技術総合研究所),Sun Hee Choi,阿部純也,福田隼也(北海道大学大学院農学院),本庄三恵(京都大学),永野惇(京都大学,龍谷大学),薦田圭介(北海道大学大学院先端生命科学研究院),中原健二(北海道大学大学院農学研究院),上田一郎(北海道大学理事・副学長),内藤哲(北海道大学大学院農学研究院,大学院生命科学院)
公表雑誌:Scientific Reports 6:21411, DOI: 10.1038/srep21411
公表日:英国時間2016 年2 月22 日(月)(オンライン公開)

2016/03/16 プレスリリース ダウンロード

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