北海道大学 大学院 生命科学院
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自発的に骨組織と強く結合する 高強度ダブルネットワークゲル ~骨伝導能・軟骨再生能を有する新規ソフトマテリアル~

 先端生命科学研究院の龔 剣萍教授,野々山貴行特任助教らと医学研究科スポーツ医学分野の安田和則特任教授,北村信人准教授らの共同グループは,骨組織と自発的に強く接着する新規ダブルネットワークゲルを開発しました。
以前本グループが開発した高強度・高靱性ダブルネットワークゲル(DN ゲル)は,生体関節内で軟骨に対する低摩耗性や軟骨組織の再生誘導性ど優れた性能を有し,人工軟骨材料や軟骨再生誘導材料としての応用研究がなされています。しかし,ゲルの高い含水率のため,生体関節内で骨組織に固定・維持することが困難であり,本材料の実用化において大きな課題となっていました。その課題解決のために,今回 DN ゲルの片側の表面層に骨組織の無機主成分であるハイドロキシアパタイト(HAp)を複合化させることで,骨組織と自発的に接着する「骨伝導能」を併せ持つことに成功しました。
この HAp/DN ゲルをウサギの膝関節大腿骨顆部に埋植すると,4 週間でゲルの母材の強度を超える高強度接着を達成しました。詳細な観察から,ゲルの内部にまで骨組織形成が進展し,ゲルと骨組織が完全に融合した構造を形成していることがわかりました。優れた力学物性・軟骨再生能に加えて,無毒で生体内の骨と接着の実現は,DN ゲルによる関節治療への実用化に向けて大きな前進となります。
この成果に対して,野々山特任助教が International Union of Materials Research Societies -International Conference in Asia(IUMRS-ICA)より The Award for Encouragement of Research in IUMRS-ICA2014,大学院生の和田 進氏が米国整形外科基礎学会(ORS)より2016 New Investigator Recognition Award(NIRA)をそれぞれ受賞し,材料科学及び整形外科学の両分野において,国際的に高く評価されています。
生命融合科学コース 龔 剣萍(グン チェンピン)教授 ソフト&ウェットマターの科学研究室
自発的に骨組織と強く結合する 高強度ダブルネットワークゲル  ~骨伝導能・軟骨再生能を有する新規ソフトマテリアル~ 自発的に骨組織と強く結合する 高強度ダブルネットワークゲル  ~骨伝導能・軟骨再生能を有する新規ソフトマテリアル~

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