北海道大学 大学院 生命科学院北海道大学 大学院 生命科学院

記事詳細

記事詳細

動物界最高レベルのフェロモン感度を誇るゴキブリ

北海道大学電子科学研究所の堂前愛研究員、西野浩史助教、北海道大学大学院理学研究院の水波誠教授らの研究グループは,爬虫類の餌として売られているトルキスタンゴキブリ(レッドローチ)がもつ性フェロモンを処理する神経が、動物界最高レベルの性フェロモン応答感度を示すこと、このゴキブリが身近な家屋害虫であるクロゴキブリやワモンゴキブリ(Periplaneta属)の仲間であることを,神経生理学的手法を用いて明らかにしました。

夜行性の動物の多くは仲間を探し当てるために種特異的な匂い(フェロモン)を用います。Periplaneta属のゴキブリのみが用いる性フェロモン(ペリプラノン)は未交尾のメスによって放出され、オスはその性フェロモンを触角内の感覚細胞で感じとることで、メスに定位し、求愛・交尾に至ります。

トルキスタンゴキブリはワモンゴキブリの2/3ほどの体サイズですが(上左)、性フェロモンが最初に処理される脳内領域(大糸球体)の体積は3倍の大きさでした。触角にペリプラノンを適用したときに大糸球体から出力する神経(上右)が活動電位を出す最小のフェロモン量は0.1フェムトグラム(1グラムの一京分の一の質量)で,ワモンゴキブリの相同神経の100倍以上の感度でした。このことは、100分子以下のペリプラノンで応答することを意味します。

トルキスタンゴキブリはペリプラノンに強く誘引されますが、求愛開始にはメスの体表面を触角で接触することによる同種確認が不可欠です。分子系統解析からはトルキスタンゴキブリはPeriplaneta属の派生種であることが示唆されており、別種との交雑を避ける性行動を二次的に発達させたと想定されます。

本研究成果は、2019年6月8日(土)公開のNeuroscience Letters誌に掲載されました。

(研究論文)

論文名 Functional unification of sex pheromone-receptive glomeruli in the invasive Turkestan cockroach derived from the genus Periplaneta.(Periplaneta属から派生したトルキスタンゴキブリの大糸球体にみられる機能統合)
著者名 堂前愛1, 岩崎正純1, 水波誠2,西野浩史1(1北海道大学電子科学研究所,2北海道大学大学院理学研究院)
雑誌名 Neuroscience Letters(神経科学の専門誌)
DOI 10.1016/j.neulet.2019.134320
公表日 2019年6月8日(土)(オンライン公開)

2019/6/27 プレスリリース ダウンロード

Copyright(C) Hokkaido University All right reserved.