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神経伝達トリガー分子の新たな局在制御機構を発見~シナプス病の分子基盤理解に貢献~

北海道大学大学院薬学研究院の多留偉功准教授らの研究グループは,神経伝達のトリガー分子である電位依存性カルシウムチャネル(VGCC)の局在が,二種類の足場タンパク質によって冗長的(重複的)に制御される, という新たな分子機構を発見しました。

脳神経系の高度な情報処理機能の基盤は,シナプスと呼ばれる神経細胞間の接着構造を介した情報伝達です。出力側であるプレシナプス(シナプス前部)に伝達の引き金を引く VGCC が正確に集積・局在することが必須であり,その分子機構の全容解明は神経科学分野の重要課題の一つです。

研究グループは,無脊椎モデル動物である線虫シー・エレガンスにおいて機能未知であった RIMB1 という分子を解析し,VGCC の足場としてのはたらきを見出しました。また,系統的な遺伝学的解析とスクリーニングによって,VGCC の局在制御には多数のプレシナプス足場タンパク質の中でも特に RIMB-1 と UNC-10 の二種類が必須であり, それらが重複した機能をはたすことを明らかにしました。さらに RIMB-1 と VGCC の局在が,双方向的な制御関係にあることを提唱しました。

これらのファミリー分子はヒトにも存在し,自閉症をはじめとした様々な精神・神経疾患への関与が示唆されています。本研究成果は,脳神経系の分子レベルでの理解に重要であるとともに,それらの疾患の分子的理解や治療薬開発への貢献が期待されます。

なお,本研究成果は 2019 年 9 月 17 日(火)公開の Journal of Neuroscience 誌に掲載されました。

論文情報
論文名 RIMB-1/RIM-binding protein and UNC-10/RIM redundantly regulate presynaptic localization of the voltage-gated calcium channel in C. elegans(線虫 RIMB-1/RIM 結合タンパク質と UNC-10/RIM は電位依存性カルシウムチャネルのプレシナプス局在を冗長的に制御する)
著者名 櫛引勇人 1,鈴木利治 1,Yishi Jin2,多留偉功 1(1北海道大学大学院薬学研究院,2カリフォルニア大学サンディエゴ校)
雑誌名 The Journal of Neuroscience(神経科学の専⾨誌)
DOI 10.1523/JNEUROSCI.0506-19.2019
公表⽇ 2019 年 9 月 17 日(火)(オンライン公開)

2019/9/17 プレスリリース ダウンロード

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