コケ植物を用いた進化発生細胞生物学研究に関する総説論文を発表
コケ植物を用いた進化発生細胞生物学研究に関する総説論文を発表
生命科学院生命システム科学コースの藤田知道先生と楢本悟史先生は東北大学と共同で、植物の進化発生細胞生物学の研究について概説した総説論文を発表しました。
植物の進化の過程では,陸上進出や根,種子,花の出現という大きな出来事があり,これらを可能にした分子の進化についての研究が特に重要な課題の一つです。現生のコケ植物は,植物が陸上進出したときの形態に近いと考えられている植物であり,より複雑な形態を持つ維管束植物との比較研究が近年盛んになってきています。
本総説論文では,コケ植物を用いた最新の研究をまとめ,これまでに知られていた植物細胞の機能がどのように進化してきたのかについて考察しています。特に,細胞の極性形成や細胞分裂の機構に関することや,維管束植物の形態形成において重要な役割を果たすオーキシン極性輸送のメカニズムの進化について解説をしています。
本研究成果のより詳しい内容については、北大プレスリリース(https://www.hokudai.ac.jp/news/2021/09/post-908.html)にも掲載されております。ぜひ併せてご覧ください。
論文情報
論文名 The bryophytes Physcomitrium patens and Marchantia polymorpha as model systems for studying evolutionary cell and developmental biology in plants
著者名 楢本悟史1,秦有輝2,藤田知道1,経塚淳子2(1北海道大学大学院理学研究院,2東北大学大学院生命科学研究科)
雑誌名 The Plant Cell
植物の細胞分裂に関わる構造体として,PPB(前期前微小管束)や,フラグモプラスト,中心体様構造が知られている。様々な植物種の細胞分裂様式の比較から,これらの構造体は,植物の進化の過程で,徐々に獲得されたり,消失したりしていることが明らかになってきている。