北海道大学 大学院 生命科学院
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記事詳細

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涙に含まれる長いアルコールがドライアイを防止~ドライアイ治療薬開発へ期待~

涙に含まれる長いアルコールがドライアイを防止~ドライアイ治療薬開発へ期待~

北海道大学大学院薬学研究院の木原章雄教授らの研究グループは,涙液に含まれる長いアルコール(極長鎖アルコール)がドライアイ防止に重要であることを明らかにしました。

ポイント

●涙に含まれる長いアルコールを産生する酵素(Far2)を同定。
●長いアルコールを産生できないマウスが重篤なドライアイになることを発見。
●涙液油層をターゲットにした新たなドライアイ治療薬の開発に期待。

研究成果の概要

涙液の表面に存在する脂質の層(=油層)は涙液の蒸発を防止するなどの役割をもち,角膜(眼球の表面)の健康を保っています。油層には多様な脂質が存在しますが,多くは長いアルコールを分子内にもっています。しかし,それらがどのように産生されるのか,どのような役割をもつのかは不明でした。研究グループは,Far2という酵素が涙液油層中の長いアルコールを産生することを明らかにしました。また,研究グループはFar2をもたないマウスを人工的に作成し,そのマウスが重篤なドライアイ症状を示すことを見出しました。これらのことから,長いアルコールを含む脂質がドライアイ防止に重要であることが明らかとなりました。

ドライアイの主要な原因は涙液油層の異常ですが,これを改善する根本治療薬は存在しません。本研究成果によって,涙液油層をターゲットにした新たな治療薬の開発が進むことが期待されます。

また,本研究成果は2022年3月3日(木)午前10時公開のFASEB Journal誌にオンライン掲載されました。URL:https://faseb.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1096/fj.202101733R

本研究成果は,北大プレスリリース(https://www.hokudai.ac.jp/news/2022/03/post-1002.html)にも掲載されていますので,より詳しい内容はそちらの記事もご覧下さい。

 


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