北海道大学 大学院 生命科学院
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口腔バリア形成におけるセラミドの重要性を解明~口腔疾患との関係解明や治療薬の開発に期待~(薬学研究院 准教授 佐々貴之、教授 木原章雄)

ポイント

●口腔粘膜に存在するセラミド分子種の詳細を解明。
●長い炭素鎖長をもつ特殊なセラミドが減少すると口腔バリアが低下することを発見。
●セラミドと口腔疾患との関係解明や、口腔疾患の治療薬の開発に期待。

概要

北海道大学大学院薬学研究院の佐々貴之准教授と木原章雄教授の研究グループは、セラミドが口腔バリア形成に重要であることを明らかにしました。

口腔粘膜には、外からの病原体、アレルゲン、化学物質の侵入や口腔内の乾燥を防ぐ透過性バリア(口腔バリア)が存在します。口腔バリアの異常は歯周病などの口腔感染症、食物アレルギー、ドライマウスといった疾患の発症あるいはリスク増大に繋がります。しかし、口腔バリアを形成する脂質分子については理解されていませんでした。

そこで研究グループは、皮膚バリアに重要な脂質であるセラミドに着目し、マウスとヒトの口腔粘膜のセラミドの組成を詳細に調べました。その結果、口腔粘膜には長い炭素鎖長をもつ特殊なセラミド(アシルセラミドと結合型セラミド)が皮膚と同様に存在することを見出しました。さらに研究グループは口腔粘膜においてアシルセラミドと結合型セラミドの量が大きく減少したマウスを作製して解析し、このマウスでは口腔バリア機能が低下していることを明らかにしました。本研究成果は口腔バリアの形成にセラミドが重要であり、セラミドと口腔疾患との関係の解明や口腔疾患の治療薬の開発につながると考えられ、今後、医療や口腔ヘルスケア関連産業への応用が期待されます。

なお、本研究成果は、2023年4月13日(木)公開のCell Reports誌に掲載されました。

論文名:Involvement of ω-O-acylceramides and protein-bound ceramides in oral permeability barrier formation(口腔バリア形成へのアシルセラミドと結合型セラミドの関与)
URL:https://doi.org/10.1016/j.celrep.2023.112363

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本研究の概要図


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