北海道大学 大学院 生命科学院
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微生物のもつ緻密な含窒素複素環合成経路を解明~有用な複素環の効率的な合成法の確立に期待~(薬学研究院 教授 脇本敏幸、講師 松田研一)

ポイント

●Actinopyridazinoneの生合成経路の全容を解明。
●Dihydropyridazinone環が、保護基の着脱を鍵とする緻密な経路によって生合成されることを解明。
●微生物のもつ含窒素複素環合成経路の多様性を解明。

概要

北海道大学大学院薬学研究院の松田研一講師、脇本敏幸教授、産業技術総合研究所の新家一男研究グループ長の研究グループは、放線菌が生産する天然物actinopyridazinoneが生体内でどのように作り出されるのか検証し、特徴的なdihydropyridazinone環が「キャリアタンパク質」を使った緻密な仕組みによって形成されることを明らかにしました。

含窒素複素環は、医薬品の開発現場で盛んに利用される有用な骨格であり、本研究で生合成機構が明らかになったdihydropyridazinone環もいくつかの医薬品に含まれる有用な骨格です。今回明らかになった生合成の仕組みを活用することで、今後、医薬品原料となる有用な分子を効率よく合成できるようになることが期待されます。

なお、本研究の成果は、2023年5月17日公開のAngewandte Chemie International Edition誌にオンライン掲載されました。

論文名:Carrier Protein Mediated Formation of the Dihydropyridazinone ring in Actinopyridazinone Biosynthesis(特異な前駆体からヒドラジン合成酵素によって生合成されるジヒドロピリダジノン骨格含有天然物)
URL:https://doi.org/10.1002/anie.202305155

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放線菌から見出された新規含窒素複素環の生合成機構


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