北海道大学 大学院 生命科学院
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記事詳細

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皮膚バリア脂質である結合型セラミドの構造を解明~皮膚疾患の治療薬の開発に期待~(薬学研究院 助教 大野祐介、教授 木原章雄)

ポイント

●結合型セラミドの構造(システイン結合型P-EOセラミド)とその産生の反応様式を解明。
●システイン結合型P-EOセラミドが皮膚における主要な結合型セラミドであることを解明。
●バリア異常に起因する皮膚疾患(魚鱗癬、アトピー性皮膚炎など)の治療薬の開発に期待。

概要

北海道大学大学院薬学研究院の大野祐介助教と木原章雄教授の研究グループは、同研究院創薬科学研究教育センターの勝山 彬助教、市川 聡教授との共同研究により、これまで不明であった結合型セラミドの構造を解明し、その産生の反応様式を明らかにしました。

表皮の最も外側に存在する角質層は、体外からの異物(病原体、アレルゲン、化学物質など)の侵入や体内からの水分の蒸発を防ぐ透過性バリア(皮膚バリア)として機能します。角質層を構成する角質細胞の表面にはタンパク質と結合した結合型セラミドと呼ばれる特殊なセラミドが存在し、皮膚バリア機能に不可欠な働きをしています。しかし、その正確な構造、結合するアミノ酸残基、反応様式は不明なままでした。研究グループは、結合型セラミド産生における中間体のエポキシエノンセラミド(EEセラミド)とその構造を模した化合物(EEアナログ)を用いたアミノ酸・ペプチドとの結合実験及びマウスの表皮を用いた解析から、結合型セラミドの構造がシステイン結合型P-EOセラミドであることを明らかにしました。その構造はEEセラミドのエノン構造部位のβ-炭素がシステイン残基のチオール基と結合したものであり、その産生はマイケル付加反応と呼ばれる様式で行われていました。さらに、システイン結合型P-EOセラミドは皮膚に豊富に存在し、主要な結合型セラミドであることを明らかにしました。

本研究成果は結合型セラミドによる皮膚バリア形成の分子機構の解明、皮膚バリア形成異常に起因する皮膚疾患(魚鱗癬、アトピー性皮膚炎など)の治療薬の開発につながることが期待されます。

なお、本研究成果は、2023年10月18日(水)公開のiScience誌にオンライン掲載されました。

論文名:Determining the structure of protein-bound ceramides, essential lipids for skin barrier function(皮膚バリア形成に必須の脂質である結合型セラミドの構造決定)
URL:https://doi.org/10.1016/j.isci.2023.108248

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本研究の概要図


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