北海道大学 大学院 生命科学院
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トランスポゾンが環境ストレス耐性植物を誕生させた

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北海道大学大学院生命科学院の伊藤秀臣助教らのグループはトランスポゾンを利用することにより環境ストレス耐性植物を誕生させることに成功しました。シロイヌナズナを37℃で24 時間,高温にさらすことでトランスポゾン「ONSEN」が活性化し,ゲノム内にコピー数が増加した集団が作られました。この転移集団を用いて,ストレス耐性試験を行いました。その結果,休眠や成長抑制,乾燥ストレスにより誘導される植物ホルモンのアブシシン酸ストレスに耐性を示す個体を見つけました。この個体のゲノム構造を調べた結果,アブシジン酸応答性の遺伝子にONSEN の挿入が見られ,遺伝子の機能破壊によりストレスに対して非感受性になったことが明らかになりました。本研究から,環境ストレスで活性化するトランスポゾンがストレス耐性個体を誕生させることを直接実証することができました。

(研究論文)

研究論文名:A Stress-Activated Transposon in Arabidopsis Induces Transgenerational Abscisic Acid Insensitivity
(シロイヌナズナのストレス活性型トランスポゾンは世代を超えたアブシシン酸非感受性を誘発する。)
著者:伊藤秀臣(北海道大学大学院理学研究院)、金  鍾明(理化学研究所植物ゲノム発現チーム)、松永  航(北海道大学大学院理学研究院)、佐瀬英俊(沖縄科学技術大学院大学)、松井章浩(理化学研究所植物ゲノム発現チーム)、遠藤高帆(理化学研究所統合生命医科学研究センター)、春川佳子(沖縄科学技術大学院大学)、 高木宏樹(岩手生物工学研究センター)、八重樫弘樹(岩手生物工学研究センター)、増田ゆかり(北海道大学大学院理学研究院)、升田誠二(北海道大学大学院理学研究院)、石田順子(理化学研究所植物ゲノム発現チーム)、田中真帆(理化学研究所植物ゲノム発現チーム)、高橋聡史(理化学研究所植物ゲノム発現チーム,横浜市立大学木原生物学研究所)、諸澤妙子(理化学研究所植物ゲノム発現チーム)、豊田哲郎(理化学研究所情報基盤センター)、角谷徹仁(国立遺伝学研究所)、加藤敦之(北海道大学大学院理学研究院)、関原  明(理化学研究所植物ゲノム発現チーム,横浜市立大学木原生物学研究所,CREST)
公表雑誌:Scientific Reports(www.nature.com/articles/srep23181)
公表日:日本時間(現地時間)2016 年 3 月 15 日(火)午後 7 時(英国時間 2016 年 3 月 15 日(火)
午前 10 時

 

2016/03/16 プレスリリース ダウンロード

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